邪魔しまくり。 ハボロイ 「大佐」 いきなり伸びてきた手に背後から抱きすくめられて、ロイは驚いて声を上げた。 「!!な、何だ」 「何やってるんスか?こんな時間に」 「見れば分かるだろう、仕事だ」 ロイは手にしていた数十枚はあるかと思われる書類の束を振って見せた。 「珍しいっスね、あんたが持ち帰ってまで、なんて」 「……この所執務時間に集中出来なくなる事が多くてね」 「そうなんスか、大変スね」 「…………………はっきりと言った方がいいか?」 低く抑えた声で言葉を返したロイの様子など意に介さず、ハボックは暫くロイの肩に唇を寄せて、ロイの洗濯されたシャツと薄いが僅かなロイ自身の匂いを愛しげに嗅いでいた。 それは堪らなくハボックの雄を刺激する匂いだ。 ハボックは暫く大人しくそのまま動かずにいたが、顔を上げて、 「それ、後にしませんか?」 耳元で囁きながら、開いたままのロイのシャツの前に手を差し入れる。 「!!おい、どこに手を…」 「あんたと、したい」 「!!!!!!!!!」 ぼか 「いたっ!殴る事ないじゃないっスか!」 「さっき、しただろう。今日は絶対に泊まるだけだから、と言うから部屋に入れてやったというのに…」 ……」 「何だその沈黙は…暑苦しいからはなれろ!……っ…おい…どこに手を」 「仕方ないじゃないっスか…俺は本当は毎日だって、あんたを抱きたいのに」 「っ……ふざけるな!私の体の事も考えろ!」 「……すみません。でも俺これでも自重してるつもりなんス。正直に言うと一日さんか…」 ぼか 「い」 ロイは低く抑えた声を出す。 「……もやされたいらしな」 ハボックはロイの胸元をまさぐっていた手を止めて、沈んだ表情でロイの顔を覗き込んだ。 「……大佐…」 「な、なんだその目は!」 「ほんと、すみません。でも俺…一日中だってあんたに触れていたい…こうして、いろんな場所に触れて、抱きしめて、口付けて…ずっと一緒にいたい」 「……………」 「何であんたがそんなにいつも冷たいのか、分からない。あんたは俺と同じ気持ちにならないんスか?少しも?いつも俺は不安で…だからこうして確かめたいんです、何度でも」 「………確かに私はどうやってもお前のようにはなれんな」 辛辣な言葉に、ハボックは一瞬息を呑んだ。 「大佐…」 「だからといって……いや、やめておこう」 「……」 「………さわるだけなら、さわらせてやる」 ロイの言葉に項垂れていたハボックの表情が明るくなる。 「!たいさ……」 「ただし邪魔しない程度にだ、って、そこは駄目だ…あ!」 おあずけをくらった後に、飼い主から「よし」と言われた犬のように、ハボックはロイの体に早急な愛撫を加える。 「好きです…大佐」 背中からゆったりとロイを抱きしめ、腰元から差し入れたもう一方の手でハボックはロイの前に触れる。 「や、あ、あ…ま…待て」 やんわりと耳朶ををはみながら、耳元で息を吹きかける様に何度も囁く。 「好きです」 「や、めろ…あ…」 ロイの弱い場所をハボックは全て熟知している。 乱れかかったシャツが隠している胸のふくらみを擦り、指の腹で何度も撫でた後に摘み上げると、ロイの体が跳ねた。 「ん、ん、あ」 尖りきったそれを何度も押しつぶす。その度引き攣れるように震える反応を確かめながら。 「だ、めだと…」 声に先刻までの命令的な強さはなくなっていた。 ハボックはロイを抱き上げて、膝に抱えるように乗せる。 「触るだけっスから…それなら、いいんでしょう?」 「……んっ…っ…」 強張っていた体から少し力が抜ける。膝を割って前を剥き出しにする体勢をとらせるのに、強い抵抗がなかった。 それを返事のかわりととって、ハボックは続ける。 「ん…あ、あ…ハボック…」 「好きっスよ、誰よりも。この世界で一番…俺の全部より」 「っ…」 ロイの指先から落ちた数枚の書類が床に落ち、広がった。 …最初はギャグにしようと思ってたんですが、ギャグでないような…になってしまった。 何だかんだでハボックにいいようにされるロイ…。 ハボックは好きで堪らないので、舞い上がってしまって毎日でも…な感じ。 ロイは淡白なので本当は週に一度くらいでいいんだけど、結局好きな相手の求めは拒みきれない、みたいな感じで。 |
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抱擁。 無意識にずり上がる腰を抱きこんでハボックが強く引き寄せる。 背を反らしながら喘ぎを噛んでロイはハボックの首にしがみついた。 耳元に首筋にハボックの速い息がかかる。ロイはきつく閉じていた目を開いて、自分を組み敷いている男の顔を確かめる。 目を閉じて行為に熱中しているハボック。何度も無意識にロイの名前を呼びながら。 ハボックはロイの体を開くのに十分に時間をかけてくれる。それこそ「もういい」とロイが止めるまで。 だが一度ロイの中に入り、その熱を、感触を知ってしまうと、急速に理性を失くす。 その余裕の無い行為はロイに少なからずの痛みを与えたが、それでもその行為全てが愛おしいものに感じられた。 「ん…っあ…」 ハボックを深々と受け入れたまま、ロイは腰をくねらせた。 「…っ…大佐…」 「ハボ…ック…」 「いい…っスか?」 答えるかわりに頷いて、抱きしめる腕に力をこめる。 より深く繋がろうとする熱のかたまりは、ただ激しくそれを押し引きする。 身を裂かれそうな痛みと苦しい息の合間に、目を開いてハボックの表情を盗み見る。 相手がハボックであると確認できるとそれは痛みから急速に快楽に変わっていく。 「う…ん…あっ…」 先に自身の下腹を濡らしたのはロイの方だった。 「…っ…」 あまりにあっけなくて、ロイは羞恥心を覚える。こんな筈ではないのに、と。 言い訳をする暇はない。ハボックの動きが更に激しさを増したからだ。 「大佐……大佐…」 何度も呼びながら、ロイの頬に睫に前髪に口付けるハボックを見上げながら、ロイは目をきつく目を閉じた。閉じた目の端にうっすらと滲んだものに、ハボックが気づくことは無い。 優しく触れて、大切に抱きしめられる度、胸を締め付けるような苦い悔恨があった。 どうして、自分はこの男に最初に抱かれなかったのか。 それはロイ自身が選択できる事ではなかったのだが。 そう思わずにいられないのだ。 できるなら、誰の肌も知らない時に出会って、この男に全てを捧げたかった。 軍に身を置いて、小さい事だと受け入れた数々の強制的な行為。 恥じた事はなかった。 まだ権力を持っていなかった時期に頭角をあらわしていたロイを煙たがる連中は決して少なくなかったのだ。 気にもとめていなかった過去の出来事が、今頃になってロイを苛む。 ハボックに出会ってからだ。 ハボックを知り、一線を越えて、いとしい気持ちを持って大切に触れられた時に、それが傷に変わった。 「……大佐?」 「……」 「……どうしたんスか?」 「何がだ」 「なんだか辛そうで……やめましょうか」 ロイはくすりと笑う。 「やめれるのか?その状態で」 「……あんたが嫌なら…………止められます」 ロイは眉を寄せて苦く笑った。 今までそんな事を聞いたものはいない。 誰もがロイの意思を無視して、ただ自分の快楽を満たした。 「やめなくていい」 「大佐…!」 まだロイの中にあったものが熱と固さを増す。 「…っ…あ…」 いったん引き抜かれかけいていたそれが奥までうめこまれ、何度も強く擦られる。 加減を知らない行為。それも全てロイを欲しがる強さゆえだと思うと、苦痛すら甘い痛みに変わる。 「ハボック……」 「大佐…」 ハボックはロイの目じりを流れるものに口唇を寄せて、それを吸った。 理由は知らない。けれど問い掛けるかわりに、より強くロイを抱きしめる。 「全部…お前の…好きに、しろ」 苦しい息の下で答えて、ロイはハボックの胸に顔を寄せて目を閉じた。 |
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*注↓以下はキン→ロイです。ご注意下さい。 | ||||||
お題5拘束 続き。 R16 何度意識を手放して、何度無理やりに覚醒させられたか分からない。 両手首を拘束され、不自由な体勢のままで、後ろからキンブリーのものに貫かれ、揺さぶられた。 ロイの腕を拘束しているのは、金属製の手錠では無く、皮紐だった。 ロイ自身の体重と、後ろから強く押さえ込まれる重さとで、皮紐は手首に食い入るように締まっている。 仄暗い部屋の中で、皮紐が擦れて軋むような音と、キンブリーがロイの腰を自身の高ぶりの上に落とす度におこる卑猥な音だけが長い間響いている。 「…あ、あ、あ」 途切れ途切れの声を上げて、ロイの体が引き攣る度、中心を深々と貫いているキンブリーのものをきつく締め付ける。 「……ふ…っ…いいですねぇ…」 悦にいった声を出して、キンブリーはロイのうなじに口付けながら熱い息を吐いた。 「い…あ、あ」 後ろに深く受け入れさせられたままで、前を扱かれる。吐精を何度も強要され、キンブリーの手の中に吐かされたものが薄まる程に絞られ、その度喉を反らして上げた声で枯れても、キンブリーの行為は終わらなかった。 時間の感覚が麻痺し、反らした喉から音すら出なくなった頃、キンブリーが耳元で囁いた。 「……もう声もでませんか?」 耳元でキンブリーに囁かれて、ロイは閉じていた目をゆっくりと開いた。 茫洋とした視界をさまよわせて、ロイは先刻まで監視という名目でこの部屋にいたキンブリーの部下を探す。 目の前で吊り上げられ、拘束されたまま両足を大きく開かされて、秘所の全てを曝け出した格好でキンブリーに貫かれるロイの姿を、刺すような目で見つめていた男達の姿が、そこにはなくなっていた。 どのくらいの時間、ここで拘束されているのか。 何をどんな風に答えれば解放されるのか分からなかった。もしそれが分かっていても、ロイにはそれを口にする事は恐らく出来ない。 命令を下した者か、それを実行しているキンブリーの気が済むまで、ただ、耐えていなければならない。 顔を寄せて、キンブリーはロイの顔を覗き込んだ。 憔悴しきった、自失したような体で、抵抗もせずにされるがままになっている。 「……」 キンブリーはロイの顎に手を掛けて振り向かせ、開かせたロイの口唇を噛み付くように塞いだ。 「――う……」 口腔への侵入は容易かったが、それまで意識も朦朧としていたロイが、いきなりそれに強く噛みつく。 「っ!」 驚いたようにキンブリーは身を引いて、口唇を押さえた。 「………」 キンブリーは見開いた目でロイを見た。 弱弱しかったそれが、強い光でキンブリーを見返した。 キンブリーは、にんまりと笑って、 「全く……本当に貴方は、面白いですよ」 「……」 背後から回した手で、キンブリーはロイの前を握りこんだ。それに触れると、ロイの体がビクリと跳ね上がる。 何度か強制的に吐精させられたそこは、まだ先端からじわりと蜜が滲み出していた。 「…や、め…も…」 触れると、ロイが身じろいで抵抗を示す。ロイが一番嫌がるやり方は、もう十分すぎるくらいに分かっていた。 キンブリーは口の端を上げてほくそ笑む。 「許してあげる気が失せました。自業自得ってやつですよ。貴方がここにこうして…繋がれているのもね」 「や…あ、あ…」 「どれだけ出世したところで、確かなものなんて無いんです。いつ誰に足元をすくわれるか分からない。それが軍事国家ってやつです。貴方は少し痛い目をみなければ分からない人ですからね」 「い…あ、あ」 「下手をすると、他の人間から、こんな扱いを受ける所だったんですよ。まあそんな事、私がさせませんが」 背後からいきなり自身をねじこんで、キンブリーはロイの首筋を強く吸った。 「あっ…!」 耳元で囁かれたキンブリーの言葉が、ロイに届く事は無かった。 ちょっと甘め(エ)なキン→ロイに(最後のあたりが…) |
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