目を開くと、見知っている筈の顔が双眸に映る。
知っているはずの顔なのに、その男は見たことのない目をして、自分を見下ろしていた。
のしかかって来る男の荒い息がかかって、一瞬でロイの全身が総毛立つ。
嫌がって身じろいだ手首と足首が伸びてきた手に捉えられて、床に押しつけられた。
膝を割る手も、胸をまさぐる指も、それが誰のもか、知りたくも無かった。
視線を彷徨わせて、ブラッドレイの姿を探す。
口元に笑みを浮かべて顎を擦りながら静観する姿が見えて、ロイは奥歯を噛んだ。

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