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熟睡。 「大佐…今日こそ俺の頼みを聞いてくれるんでしょうね…」 「………」 「約束っスよ」 「……仕方ないな…だが、私は寝苦しいのは駄目だ。少しでも気になると、眠れん。だが、約束は約束だからな、お前が寝つくまでじっとしててやる。ただし、今日だけだぞ!」 「さ、じゃ、こっち来てください。もっと、ほら」 「く………」 「は〜〜……いいな、これ。俺、幸せっスよ」 「よくこんな体勢でいられるな。腕がパンパンになるだろう」 「そんな事全然気にならないっスよ。朝になって腕が痺れて上がらなくなっても、幸せっス」 「だから、朝までじゃなくてだな」 「…………グー」 「おい…まさかこの体勢でもう寝たのか!ありえない奴だな…」 「……」 「熱い…体温高すぎじゃないのか…腕がおも…くて眠れん。絶対無理だな」 「…大佐…好きっスよ〜…」 「………Z…」 安心する体温で眠ってしまう…とかそんな感じで。 |
体温と肌のニオイに癒され中。 |
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『…あれ?』 パチ。 ハボック「……あ、あれ…」 ロイ「何だ」 ハボック「いや、その〜……お、起きてたんスか?」 ロイ「――当たり前だろう。今は執務中だぞ」 ハボック「―そ、そうっスよね!いや、その…時々執務室で寝ているように見える大佐が、本当に寝てるかどうかで賭けみたいになりまして」 ロイ「……ほう」 ハボック「カードに負けたものが、大佐が起きてるかどうか確かめてくる、という罰ゲームになってて、別に俺はその…大佐の寝てる間におかしな事をしようと自分からしたわけじゃ決してないっスから、そこだけはどうしても分かってもらいたいっス」 ロイ「分かってもらいたいのはそこだけか。どうでもいいが、いつまでのしかかってるつもりだ?」 ハボック「……何となくこう固まってしまったというか」 ロイ「全く…情けなくなってくるな。中尉は何か言ってたか?」 ハボック「……『大佐が寝るわけがない』と」 ロイ「そうだろう」 ハボック「そうっスよね!」 ロイ「扉の前に立った気配をかぎわけ、瞬時に体勢を整えて出迎えるのには高度な技が必要だ。まあお前には無理だろうが」 ハボック「………はあ」 ロイ「嘘に決まっているだろうが」 ハボック「……どれが嘘なんスか?」 ロイ「……ともかく、私を賭けの対象にしたのも許せんが、罰ゲームにした、というのがもっと許せんな。勝者に与えられる権利、であっていいくらいだろう」 ハボック「…………」 |
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愛撫 ハボックの舌先が絡みついて何度もその場所を吸い上げる。 ロイは、せわしない呼吸を繰り返して何度も襲う波を堪えていたが、それもそろそろ限界だった。 「……も、う、無理だ…やめろ」 それを口に含んだまま、ハボックはちらりとロイを伺い見たが、目を閉じて行為を続ける。 「やめと、言っている…だろう…あ、あ」 ゆっくりと先端に舌を這わせる。割り開いた間に差し込んだ舌先で刺激を与えると、ロイは喉を反らして身を引き攣らせた。 ハボックが試すようにロイを攻め立てる度に、思い通りに反応を見せて、四肢をふるわせるのがハボックには堪らなかった。 「駄目、だ…で…そうだ。はなせ」 「…もう少し、我慢してください。そしたら、もっとよくなる」 「…っ…お前、は…私は、こんなのは嫌だといつも言ってるだろうが!それでなくとも、疲れて、いるのに」 ロイの言葉に、ハボックは内心溜息を漏らす。 「疲れている」だの「明日に響くから駄目だ」だのと拒否されて、やっと触れることを許された時には「早く終わらせろ」と言う。 「俺は何時間でも触れていたいんです」 何時間でも、こうしてハボックはロイに愛撫を加えていたかった。何度も感じさせて、何度も自分の与えるもので喘がせたいとハボックは思う。なのに。 「はなせ…頼む、から…あ、あ、ああっ」 金糸に指を絡めてハボックを引き剥がそうとしたが、ロイの徒労に終わった。 ロイはビクビクと身を引き攣らせて、ハボックの喉の奥に吐精した。うっすらと滲んだ双眸で、ハボックを見下ろす。 視線を絡めたままで、ハボックがゆっくりと喉が上下させ、それを飲み干すのが見えた。 「い…なんで殴るんスか!」 「軽くすませろ、と言ってるだろうが!それに…私の―…」 「…何スか?」 「だ、だから…」 口ごもるロイに、 「別にあんたに同じ事してくれって頼んでないですから、いいでしょう。このくらい、俺の好きにさせて下さいよ」 「…………………っ……わか…った」 眉間に濃い皺を刻んで、渋々にだが、それを受け入れてくれた事が嬉しくて、ハボックはロイを腕の中に強く抱きしめた。 ロイは肩越しにひっそりと息を吐く。 「………無理させて…すみません、大佐」 「……私こそ、我慢、させている、だろう。その…いろいろ」 「まあ、それは確かに。俺は本当は一日中でも―…」 最後まで口に出させず、ハボックの頭をロイはもう一度軽くこづいた。 |