ヒューズ「桜も、もう終わりだな」」
ロイ「ああ。しかし…大勢で騒ぐのが好きなお前が…珍しいな。二人で飲みたいなんて」
ヒューズ「――まあ、たまにはな」

ヒューズ「あと少しで卒業だな」
ロイ「………そうだな」
ヒューズ「しかし、いろいろあったよな、おい」
ロイ「そうだな」
ヒューズ「入学したての頃…仲が悪かったの、覚えてるか?」
ロイ「……そういえば、そうだったな」
ヒューズ「お前を持ち上げる連中と、俺を持ち上げる連中といてな、クラスが険悪なムードになりかけた頃だったか…訓練の時、無理矢理教官にお前と組ませられて…その時の訓練でお前の事を見直したんだったな。あれが無かったら、今こうして一緒に飲んでる事もなかったかもな」
ロイ「ああ。しかし…見直したって何だ」
ヒューズ「大したヤツだと思った」
ロイ「――俺も、同じだ」

ヒューズ「――なあ、ロイ」
ロイ「なんだ?」
ヒューズ「卒業しても、こうして――飲む時間を…もつのはどうだ?」
ロイ「そのつもりでいたが」
ヒューズ「………どうかな〜〜〜〜お前は忙しくなったら、連絡を入れるのも面倒になるんじゃないか〜?ま、俺の方が電話するけどな」
      
   

ロイ「……酔った…」
ハボック「え?まじっスか?」
ロイ「……肩を借りるぞ!」
ハボック「――いいっスよ、どうぞ」

ハボック「――サクラ、綺麗っスよね、ほんと」
ロイ「………」
ハボック「…大佐、寝てるんスか?」
ロイ「………」
ハボック「なんか…こういう時間って、いいですよね」
ロイ「……」
ハボック「俺、軍人らしい夢をちゃんと持ってるんスけど……でも、こういう時間を過ごすと…つい穏やかな夢も…夢見たりします。あんたと――10年後も20年後も、ずっと、何年も、春になったらこうして…花を見ながら、ゆっくりと過ごせたらいい、と―思ったりするんスよね」
ロイ「……」
ハボック「冷えてきたッスね、やっぱりコート持ってきて良かった」
ロイ「――そうだな」
ハボック「え?あ…起こしたッスか?すみません」
ロイ「いや、いい」
ハボック「冷えてきましたから、もう車に戻りますか?」
ロイ「――いや、いい。もう少し……花を見ていたいからな」
ハボック「……そうですね」
                            
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