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いきなり腕を掴まれて引き寄せられる。

右腹の火傷の痕が引き攣る様に痛んだ。
ブラッドレイは冷笑を浮かべたたまま、ロイを上から下まで眺める。
その目の奥の光に、内から震えがくるものを感じたが、決して怯えたりなどするものか、と、キツイ目で見返した。
ふ、とブラッドレイが息を吐くように微笑む。
「・・・・まだ、傷が痛むようだな」
ブラッドレイは、はだけさせた軍服の上着を、両手で掴んで、左右に開く。
露にされた肌に、冷たい空気がひやりと触れた。
「・・・・!?閣下・・・・・・・・」
シャツの下から、白い厚めのガーゼを白いテープで固定している傷痕が現れる。
「・・・・かなり酷い火傷だったようだな」
「・・・・・」
「傷痕を見てもいいかね?」
「――!?」
ロイは見開いた目でブラッドレイを見上げた。
目が合うと、口の端を上げて、笑い返される。
怪我の痕は、怪我を治療した医者と、もう一人にしか見せていなかった。
自分と同じ火傷を体に持つ、愛しい部下。
その痕に、愛しむ様に何度となく口づけられた
「・・・・・どうしたんだね?嫌なのかね?」
「・・・・・いえ・・・・・・」
ロイは目を伏せて、そして自分で傷痕を覆ったテープとがーゼを、ゆっくりと剥がす。
その場所を凝視する視線を感じて、ロイは目を伏せた。
「・・・・なるほど。これは血止めの為に、自分で焼いた傷だね」
指で触れられて、ロイは四肢を強張らせた。顔を背けて、開いた目を閉じて眉を寄せる。
「!?」
傷痕に口づけられて、咄嗟にロイはブラッドレイの肩を掴んだ。
「・・・・何だね?」
問い掛ける目で、ブラッドレイは動きを止めてロイの目を見返した。
「・・・・・・・・・・・・やめ・・・・・て、下さい・・・」
「・・・何故だね?」
「・・・・・っ・・・・・」
痕をたどる様にゆっくりと這わされる舌。
下唇を強く噛んで、顔を背ける。
痕に口唇を這わせながら、ブラッドレイはちらりとロイの表情を盗み見て、ゆったりとほくそ笑んだ。