部屋の扉を閉じて、数歩歩いた所で、エドワードは前を歩くロイの肩を掴んだ。
「……?何だね?鋼の」
きつく睨み上げていエドワードの視線とロイの視線がぶつかる。
「…大佐…いろいろあったって言ってたけど…まさか、あの男に何かされてないだろうな?」
エドワードは顎でしゃくって、、ブラッドレイとつい先刻までテーブルを挟んで対峙していた部屋の扉をしめした。
ロイは少しだけ肩を竦めてみせて、
「さっき言ったとおりだが…他には何も――…っ…鋼の!?」
襟元を掴まれて詰め寄られて、ロイは怪訝そうに眉を寄せた。
「…信用ならねえな…大佐の言うことは。おい、アル」
先刻から無言のまま、ただエドワードとロイのやりとりを傍観していたアルフォンスが、兄の呼びかけに答えて動いた。
「え?な、何?兄さん」
「大佐を押さえてろ」
「……」
「鋼の…!」

アルフォンスはエドワードの言葉に従う事を一瞬躊躇い、兄の目を暫く無言で見つめた後、掴まれた腕を振り払おうとしているロイに視線を移した。
「アル!」
もう一度エドワードに名前を呼ばれて、アルフォンスはゆっくりと両手をのばしてロイの手首を掴んだ。
「……!?」
驚いたようにアルフォンスを見上げるロイの黒い瞳とアルフォンスの視線が交わる。
驚いたように少し見開かれた瞳を見ながら、
「ごめんなさい、大佐。兄さんの頼みは…断れなくて…悪いですが、兄さんのしたいようにさせてあげてください」
「…な…いいから、放せ」
振り払おうとした手首を掴む指先の力を更にこめて、責めるような瞳に視線を止めたままでアルフォンスはロイの腕を後ろ手に捕らえた。
「…っ…!」
「――そのまま、押さえてろ、アル」
「……うん」

エドワードの右手がロイの軍服のベルトにかかる。
「…鋼の…ここがどこか…分かってるのか?」
低い声で問うロイに、エドワーが短く答えた。
「大総統官邸の廊下だけど。それがどうかしたのか?」
「……」
「誰に見られても、俺は全然構わないぜ、大佐」
荒い手つきで前を開いて、途端、一瞬身を固くするロイの表情を捉えたままで、ゆっくりとエドワードは指を滑り込ませた。
「…や…めろ…鋼の――」
「もっと脚、ちゃんと開けよ、大佐」
「いいかげんにしろ!何も…あるわけがないだろう!」
黙ったままロイの腕を捕らえていたアルフォンスが片手を背後から伸ばしてロイの膝の裏に腕を差し入れて掴んだ。
「……アル…?」
アルフォンスは軽々とロイの片足を持ち上げて、身を捩るロイの腕を強くねじり上げた。
「………や、め…」
前を開いても気丈なままで、エドワードの前で余裕の態度を崩さないでいたロイの頬が朱に染まる。
口唇を噛んで眉を寄せるロイの表情に、エドワードの心臓は跳ねて、体温が上がった。
大きく開いた脚の間に右腕を差し入れて、奥を探った。
「鋼の…!っ…!」
さぐりあてた場所に指をたてて、抵抗を無視してねじ込む。
息を詰めて目を閉じて喉をそらすロイを上目遣いに見ながら、エドワードはロイの中で指を動かした。
「っ……」
「――…」
「…こんな、事を、してる場合じゃ、ないだろう?鋼の―…」
そのまま内を探ろうとした手を止めて、エドワードは目の前のロイを見上げる。
ロイが何を示唆しているのかは分かっていた。
こんな事―とロイは口にしているが、エドワードにとってはこんな事ではない。
確かに、ブラッドレイがその名前を口にした時から気になっていた。直ぐにでも安否が知りたいと思っていた。
「………」
エドワードはそのまま俯いて、きつく眉を寄せて目を閉じていたが、ゆっくりとロイから離れた。

**14巻のエドが合流したあたりの妄想でした。
どれもすごく途中ですみません…
流石に全部文をつけてたら、いつまでも放置になるので。
日記に貼ったままの状態でアップしてます。




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